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はじめに
最近はフレッツ光クロス、NURO光10G、auひかりホーム10ギガ、eo光ネット10ギガコースなど、10Gbpsのインターネット回線が狭い範囲ながらも広がってきました。そんな時代の流れに対応すべく、10GbpsのLAN環境(10GBASE-SR)を構築してみました。
構成
2台のデスクトップPC間で10Gbps通信を行えるようにしていきます。これなら、まだ高価なスイッチングハブを購入する必要なく、10Gbpsを体験できます。スイッチングハブは実際に10Gbpsのインターネット回線を引いたら買う予定です。
インターフェースとして、SFP+を選択しました。これを使用すると、場合によって光ケーブルと銅線(ダイレクトアタッチケーブル)を使い分けることができます。今回は光ケーブルの中でも短距離用(Short Range)を選択します。これはマルチモードファイバ(MMF)を使用します。短距離と言っても、最大300mなので、家の中で使う分には全く問題ありません。
(一応SFP+端子にRJ45用のトランシーバをつければ、RJ45のケーブルを使用することもできますが、今回は用いません。)
銅線を使用して高速通信すると、どうしてもノイズの影響を受けてしまうと考えられますが、光ケーブルなら電気的なノイズには一切関与しないので、安定した通信が行えるのではないかと思います。
ちなみに、家庭で一般的に使用されるRJ45を採用することも考えましたが、発熱が大きく、十分冷却しなければ動作に支障をきたすほど熱くなるようなので、見送りました。
以上の構成をまとめると、以下の図のようになります。
お買い物
構成図から、PCIe接続のNICを2つ、電気信号と光信号を変換する光トランシーバを2つ、SR用のMMFケーブルを1本購入すればいいことが分かります。
Amazonで買おうと思っていましたが、NICを2つ買うだけで20,000円を超えそうだったので予算オーバーで断念しました。
そこで、AliExpressでいい感じの格安商品がないか探したところ、いくつか見つかりました。
光トランシーバ: E10GSFPSR
光ケーブル: om3 fiber
NICは違いがよくわからなかったので、X520-SR1を購入しました。本来SR用のNICを買うと光トランシーバもついてくるようですが、このショップは敢えて分けて販売しているようです。DA1の方が安かったので、もしかするとそちらを買った方が良いのかもしれません。
このように、送料込みでたったの14,120円で購入できました。
10GbEの環境がこの値段で手に入ると思うと、非常にうれしいですね。
ちなみに、Amazonでは別の光ケーブルと、それに加えてダイレクトアタッチケーブルも購入しました。これらは安いので、普通に日本のAmazonで買ってしまっても大丈夫です。光ケーブルを計2セット購入したのは、不具合が起こった時の原因切り分けのためと、今後普通に使用するためです。
配送
貨物追跡の結果は以下の通りです。
中国→台湾→日本
のルートでしたが、Yanwenを経由すると台湾で時間を食ってしまいました。また、川崎で通関した後、大雪の影響で物流がストップして北陸の自宅までなかなか荷物が届かない状況でした。
もう少し早く来るかなと思っていましたが、配送は自分には制御できない部分なので仕方ないですね。正月だったのも影響していたのでしょうか。
他の方のサイトを拝見したところ、やはり台湾のTWTPEXという取扱局を経由すると、5日前後の時間がかかってしまうようです。荷物が航空機の順番を待つのに時間がかかっていると思われます。
開封
一度取り出してしまいましたが、こんな感じで入っていました。
非常に厳重に梱包されて届いたので安心しました。
SFP+の光トランシーバは、既にNICに取りつけられた状態で届きました。
動作確認
PCIe 3.0のマザーボード(ASRock Z390 Pro4)とPCIe 2.0のマザーボード(ASUS P7P55D-E)のデスクトップPCを利用して動作確認を行いました。いずれにしてもNICはPCIe 2.0で動作します。
ここで、不具合が発生してしまいました。1Gbpsモードでは正常に動作する一方、10Gbpsモードに切り替えると、頻繁にリンクダウンする現象が発生しました。数秒程度なら通信できますが、これでは使い物になりません。
そこで、とりあえずAmazonで購入したダイレクトアタッチケーブルで、光信号を使わず通信してみました。すると、10Gbpsモードでも正常に動作しました。
このように原因の切り分けをしているうちに、なぜか最初の構成でも正常に動作するようになりました(困惑)。推測としては、ダイレクトアタッチケーブルがNICに対して何らかの影響を与え、光トランシーバが正しく動作する状態となったということです。ベンダーロックとかの関係でしょうか…(この辺りは詳しくないのでよくわかりません)。
同じものを購入される方は、ダイレクトアタッチケーブルも購入することを推奨します。高いものでもないので。
不良品として中国に送り返すのはあまりに面倒ですよね。
測度測定
何はともあれ、正常動作するようになったので、速度測定を行っていきます。
Windows標準のSMBプロトコルを利用します。
まず、RAMディスクを用いてボトルネックを極力取り除いた形で測定します。
RAMディスクの容量の関係で、大容量ファイルの送受信は行えませんでしたが、安定して1GB/s程度の速度が出ています。理論値は10Gbps = 1.25GB/sなので、十分満足できる速度が出ています。
次に、NVMe SSDを用いて、大容量ファイルの送受信を行います。
これは何らかのボトルネックがあり、安定して出る速度は6Gbps程度でした。
おそらく、PCIe 2.0にてNVMeのSSDへの書き込みとNICからのデータ読み取りを同時に行うことで、バスが輻輳していたものと思われます。
最初の一瞬だけ1GB/s程度の良い速度が出ていますが、これはメインメモリにデータを一時保存しており、NVMe SSDへの書き込みがほとんど発生せず、バスが空いていたためと考えられます。メインメモリが一杯になると、SSDへの書き込みを本気でせざるを得なくなり、遅くなったものと思います。
ネットワークが10Gbpsにもなると、バスの輻輳やディスクアクセスがボトルネックになるケースが多くなりそうですね。
まとめ
- 10GbpsのLAN環境を構築するためにAliExpressでNIC、光トランシーバ、光ケーブルを購入しました。また、Amazonでダイレクトアタッチケーブルを購入しました。いずれも、非常に厳重に梱包されて届き、安心感を覚えました。
- 光ケーブルを使用して10Gbpsモードでリンクダウンする不具合が発生しましたが、一旦ダイレクトアタッチケーブルを挿すとなぜか使えるようになりました。
- 安いにも関わらず、安定して良い速度が出るLANの構築に成功しました。
不具合が出たときはどうなるかと思いましたが、とりあえず10Gbps LAN環境の構築に成功して、満足しています。
返品しなければならなくなった時、国際配送で返品するのは大変なので、リスクをとりたくない方は日本のAmazonで購入した方が安心かもしれません。
スポンサーリンク今後
ファイルサーバを作ることを企んでいます。10Gbpsのネットワークスイッチはまだ高いので、ファイルサーバに2口のNICを取り付けることで、2台のPCから10Gbpsで同時アクセスできるようにしようかと考えています。その時はまた記事にしようと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。